【第9回】ECSコンテナAP開発(6)ECSタスク設定


クラウド時代が到来し、ますます広がりを見せつつあるコンテナ技術。第2回は、AWS ECS上でSpringアプリケーションを構築する方法を説明します。本稿は以下のステップに沿って、解説しています。

  1. VPC(Virtual Private Cloud)環境の構築
  2. アプリケーションロードバランサ(ALB)の作成
  3. Springを使用したコンテナアプリケーションの実装方法
  4. Dockerコンテナの作成・DockerHubへのプッシュ
  5. ECSクラスタの作成
  6. ECSタスクの定義
  7. ECSサービスの実行

前回の記事「 【第8回】ECSコンテナAP開発(5)ECSクラスタ設定 」までに、以下イメージの構成に沿って、VPC環境・ALBを構築した後、ECSコンテナ上で動くパブリック・プライベートサブネット用2種類のアプリケーションを作成し、 Dockerコンテナイメージを作成してレジストリにプッシュしました。そして、コンテナを実行するためのECSクラスタを作成し、今回は「6. ECSタスクの定義」です。


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(6)ECSタスクの定義


ECSタスク定義では、前回プッシュしたDockerコンテナイメージのレジストリURLや割り当てるCPU、メモリ、マッピングするポートといったECSコンテナに関する設定を行います。 ECSタスクが実際にサービスとして実行されるには、コンテナイメージをプルしたり、CloudWachへログを送信するためのECSタスク実行用のIAMロールが必要です。また、必要に応じてコンテナ内のアプリケーションの動作のために必要なロールも事前に定義しておく必要があります。


まずはECSコンテナに割り当てるタスク実行用のIAMロールを作成します。「IAM」サービスから「ロール」メニューを選択し、「ロールの作成」ボタンを押下します。 「Elastic Container Service」を選び、「ユースケースの選択」で「Elastic Container Service Task」を選択してください。


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アタッチするアクセス権限のポリシーに「AmazonECSTaskExecutionRolePolicy」をアタッチします。


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「ロール名」に任意の名前を入力して、「ロールの作成」ボタンを押下します。


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同様に、アプリケーションの処理に応じて、必要なロールを作成してください。(例えば、アプリケーションがS3へアクセスするならS3アクセスポリシーを割り当てたIAMロールを設定します)。

引き続き、ECSタスク定義を実行します。「ECS」サービスで、「タスク定義」メニューを選択し、「新しいタスク定義の作成」ボタンを押下してください。「起動タイプの互換性の選択」には「EC2」を選択します。


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以下の要領に従って、ECSタスク定義の設定を行います。

ECSタスク定義の入力項目
入力項目 説明
タスク定義名 タスク定義として任意の名称を入力します。
タスクロール アプリケーションの処理内容に応じて必要なIAMロールを設定します。特にAWSのサービスを利用する処理がなければ、「なし」も選択できます。 詳細は 「 タスク用のIAMロール 」を参照してください。
ネットワークモード コンテナとクラスタ間のネットワーク変換の方式を指定します。通常はデフォルトでかまいません。
タスク実行ロール 上記で作成したタスク実行用のIAMロールを指定します。詳細は「 タスク実行用のIAMロール 」を参照してください。
タスクメモリ コンテナに割り当てるメモリを指定します。Springアプリケーションを実行する際は最低1024MB以上は割り当ててください。
タスクCPU コンテナに割り当てるCPUユニット数を指定します。


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また、コンテナの定義は以下の要領に従って、実行してください。

コンテナ定義の入力項目
入力項目 説明
コンテナ名 コンテナの任意の名称を入力します。
イメージ DockerイメージのあるレジストリURLを[registry-url]/[namespace]/[image]:[tag]の形式で指定します。Docker Hubの公開レポジトリであれば、[namespace]/[image]の形式でも可能です。
プライベートレジストリの認証 認証が必要なプライベートレジストリからコンテナイメージを取得する場合に指定します。
メモリ制限 コンテナに割り当てるメモリを指定します。Springアプリケーションを実行する際は最低1024MB以上は割り当ててください。
ポートマッピング コンテナアプリケーションにマッピングするポート番号を指定します。例えば、ECSクラスタが80番ポートで受け付けて、コンテナが8080番ポートに変換して実行する場合、ホストポートに80を、コンテナポートに8080を指定します。なお、動的ポートマッピングを使用する場合は0を設定してください。


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注釈

詳細コンテナの設定はスキップしても問題ありませんが、アプリケーションへの環境変数など必要に応じて設定してください。


パブリック・プライベート用アプリケーションのコンテナイメージをそれぞれタスク定義すれば完了です。第二回の最後となる次回は、ECSサービスを実行してみます。


著者紹介

川畑 光平(KAWABATA Kohei)

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某システムインテグレータにて、金融機関システム業務アプリケーション開発・システム基盤担当を経て、現在はソフトウェア開発自動化関連の研究開発・推進に従事。

Red Hat Certified Engineer、Pivotal Certified Spring Professional、AWS Certified Solutions Architect Professional等の資格を持ち、アプリケーション基盤・クラウドなど様々な開発プロジェクト支援にも携わる。

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