【第3回】サーバレス開発(3)AWS API Gatewayの利用


クラウド時代が到来し、ますます広がりを見せつつあるサーバレス開発。初回はAWS LambdaとAPI Gatewayを使ったサーバレス環境下でSpringアプリケーションを構築する方法を解説します。


前回の記事「 【第2回】サーバレス開発(2)Amazon Lambdaの利用 」ではサーバレスアプリケーションをAWS Lambdaへ登録しました。 今回は、Amazon API Gatewayを設定して、登録したLambda関数を呼び出してみましょう。


Amazon API Gatewayの設定


リクエストを受け付けて、設定したAWS Lambdaを実行するためのAPI Gatewayの設定を行います。AWSコンソールの API Gatewayサービスメニューから、以下を入力して、「APIの作成」を押下してください。

  • Protocol : REST
  • 新しいAPIの作成:新しいAPI
  • API名:任意の名前を入力
  • エンドポイントタイプ:リージョン


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API作成後、「アクション」ボタンから「リソースの作成」を選択します。


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リソース名とリソースパスを設定し、「リソースの作成」ボタンを押下します。


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作成したリソースを選択し、再び「アクション」メニューからメソッドの作成を選択し、POSTメソッドを選択、チェックボタンを押下します。

警告

GETメソッドを指定すると、SpringBootApiGatewayRequestHandlerでは、JSONリクエストボディがなくなるため、エラーになります。2019.1月現在、この問題は ISSUE として起票されています


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以下の設定内容に従って、POSTメソッドのセットアップを行い、「保存」ボタンを押下します。

  • 統合タイプ:Lambda関数
  • Lambdaプロキシ統合の使用:チェックする
  • Lambdaリージョン:Lambdaを作成したリージョン
  • Lamnda関数:前節で作成したLambda関数名を選択する。
  • デフォルトタイムアウトの使用:チェックする


警告

Lambdaプロキシ統合をチェックしないと、Lambdaファンション側にSpring Cloud Functionが期待するデータが来ないのでエラーとなります。忘れないようにチェックしておきましょう。なお、Lambdaプロキシ統合をチェックしないとエラーになる理由は、今回ハンドラクラスで継承したSpringBootApiGatewayRequestHandlerが、型パラメータとしてcom.amazonaws.services.lambda.runtime.events.APIGatewayProxyRequestEventを指定しているためです。Lambdaプロキシ統合でなければ、上記の型パラメータクラスに必要な情報が渡って来ないため、NullPointerExceptionでエラーになります。


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設定したLambda関数が正しく動くか動作テストを実施します。「テスト」リンクを押下します。


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以下の項目を入力し、「テスト」ボタンを押下します。レスポンス本文に「Complete!」と表示されればアップロードしたサーバレスアプリケーションが正常に実行された結果です。

  • リクエスト本文:{"test":"TestMessage"}


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Lambda関数が正常に実行できることは確認できましたが、外からAPIをコールするためには、APIをデプロイすることが必要です。「アクション」メニューから「APIのデプロイ」を選択します。


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デプロイされるステージとして、「新しいステージ」を選択し、任意の名前を入力し、「デプロイ」ボタンを押下します。ステージ名はエンドポイントURLにも反映されるため、「prod」や「dev」などにするのが一般的です。


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APIがデプロイされると、エンドポイントのURLが表示されます。このURLにリソース名を加えたものがリソースURLになります。


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設定が終わったら、実際に外部のローカルクライアントから、curlコマンドなどでリクエストを送信し、実行結果を確認してみましょう。エンドポイントURLの最後にリソース名を付与するのを忘れないでください。

curl -d '{"test":"TestMessage"}' https://xxxxxxxx.execute-api.ap-northeast-1.amazonaws.com/dev/sample


コマンドを実行した結果、"Complete!"というメッセージが返却されるのに加えて、CloudWatch Logsには、実行したLambda関数の結果が表示されます。


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注釈

Lambda関数の初回起動時はSpringFrameworkの起動でAPIリクエストを送信してから実行までに少々時間がかかります。2回目以降は実行環境が再利用されるので、即時処理されますが、実行環境は一定時間経つと破棄されるので、そうした制約を考慮しておきましょう。


まとめ

AWS LambdaやAmazon API Gateway、Spring Cloud Functionを利用することにより、ごくごく少量のコーディングで、サーバレスアプリケーションを実行することができます。 このサーバレス開発のスタックはとても簡易で、かつ拡張性も高く、エンタープライズ開発でも十分有用です。

著者紹介

川畑 光平(KAWABATA Kohei)

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某システムインテグレータにて、金融機関システム業務アプリケーション開発・システム基盤担当を経て、現在はソフトウェア開発自動化関連の研究開発・推進に従事。

Red Hat Certified Engineer、Pivotal Certified Spring Professional、AWS Certified Solutions Architect Professional等の資格を持ち、アプリケーション基盤・クラウドなど様々な開発プロジェクト支援にも携わる。

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